丘の上の灯台

 

海が見たくなった。

車に乗り込み、日本のアマルフィ 和歌浦まで・・

来たことある様な、無い様な・・・
不思議な感覚で坂道を進んでいくと、
頂上に灯台が見えてきた。

とにかく、人が誰もいない・・。

灯台に登って海を見ていると、
暇そうなトンビが一羽、クルクルと近くを離れない。
私の事、偵察してる?
「もう少しだけ、ここに居させてね、」
そういうと、いつの間にかいなくなった。

雑賀崎の灯台から眺める懐かしいパノラマ、
遠くに霞んで淡路島が見える。
小さな頃、何度もこの場所に連れて来てもらった事を思い出した。

その景色を収めようと、カゴに手を入れると・・・
カメラはおろか、携帯まで忘れて来たことに気づく。

気に入った風景や物に出会うと、
つい写真を撮りたくなる変な癖がついてしまった。

懐かしい場所は、心の中に焼き付けておこう・・・。

大きな旅館が閉店していたり・・・、
昔のにぎわいはなく、町はさびれている様に見えたけど
シーズンオフだからだと思いたい。
母が好きだった、岬の庭園がそのまま残っていて少しホッとする。

アマルフィを旅した時、和歌浦を思い出した。
そのことを和歌山の伯母に言うと、全身で喜んでいた。
住んでいる人もまた、ラテン気質。
やはり、和歌山は日本のイタリア、
和歌浦は日本のアマルフィですね、

また、いつか。

 

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帰り道、
お約束のシラス屋に立ち寄る。

お腹ペコペコ。
うちに帰って早速、夕食を作り始める、
炊きたてのご飯にシラスと自然薯、
アサツキとわさびを添えて、
湯浅の生醤油を数滴垂らし、
最後に揉み海苔をトッピング・・・
美味しすぎて、センチメンタルな気持ちは吹っ飛んだ。

ちょっぴりノスタルジックな、
名付けて「雑賀崎丼」
・・・完食。