今日の風雨で桜も終わりですね、
今年は
「ひとりお花見」がいつもより多かった。
寂しそうに聞こえるかもしれませんが
私にとってそれは、とても贅沢で大切な時間。
少し遅れて咲く裏庭の桜が満開になり
宅配便のお兄さんがそれを見て
「昨日花見に行きました」って。
「どこの山に行かれましたか?」と聞いたら
わざわざ都会まで行かれたみたいで・・・
お花見には
きっと大きく分けて二種類、
人がいない場所でしっとりと過ごしたい派と、
大勢が酒盛りをして華やいでいる場所で過ごしたい派に
分かれるのではないかと。
後者も悪くはないけれど、
私は独り、もしくは心安らげる人と
そっと桜を見ていたいな。
独身の頃
工房を開いていた山に咲く枝垂桜、
工房から歩いて5分くらいの場所だけど
桜の側には、なかなかたどり着けない。
とても急な丘の上にその木はあります。
少し盛りが過ぎたとはいえ
こんなにも咲き誇っているのに
また誰もいない、
誰もいないのが嬉しいんですが・・・
季節になると大勢の人がやってきて
全力で咲かせた花を綺麗だと褒め称えられる桜と
誰も知らない山の奥にひっそりと咲く桜、
桜にとってどちらが幸せなんだろう。
大きく窪んだ幹に沿うようにして丸くなり腰掛けてみる。
すると
なんだか不思議な音がする・・・
憶えてないけど
それは母の子宮の中にいた時みたいな感じで
しばらくすると
ひとすじ光が差し込んできて
長い間その光は窪んだ幹を射していました。
もしかしてそれは
逆に幹から空に放たれた光なのかも・・
「心配ないよ、大丈夫だよ、」
桜にそう言われた気がした。
何も語らずとも
老木は、
私の心の中が
全てお見通しなんだ・・・。