10数年前、
シェフと東京の恵比寿にある「TOSHI.YOROIZUKA」に行きました。
お店の奥に小さなカウンターが設けてあって、
そこに座ってオーダーすると
鎧塚さんが自らデザートを作りサービスをしてくれるんです。
ミッドタウンに出店される数年前で
カウンターには私たち二人きり。
今思えば、ゆったりとした時代でした。
目の前でニコニコと
穏やかにデザートを作って下さる鎧塚さんに学ぶところ沢山ありました。
「いいな〜 俺もああいうことしたいなぁ 」
来る日も来る日も厨房で忙しく仕事をしているシェフにとって
デザートをその場でお客様に提供できるスタイルは憧れだったのでしょう。
とても刺激になった様でした。
数年後
鎧塚さんはミッドタウンにお店を出され、プライベートではご結婚もされて。。
その頃の私たちはというと、
シェフの病が見つかり一瞬で谷底に突き落とされたような・・。
闘病中の彼をひとり病院に残し 車での帰り道、
FMからお二人のイタリアでの挙式の話を耳にして
「幸せそうでいいなぁ。。
幸せな感覚ってどんなんやったっけ?」
パティシエ繋がりというだけで何の接点もないわけですが・・・
私たちの前に突きつけられた未来のない現実を思うと
情けなくてやりきれなくて、
涙が止まらなくなったことを思い出します。
長い人生の中には山も谷もある。
それはすべての人に平等に起こることなのでしょう。
ならば、早くに悲しみを知っている方が幸せ?
小さなことでも、とても幸せに思えるから
本当はとてもラッキーな事なのかもしれないなぁ。。と
ちょっと、独り言です・・・。