ワレモコウ

昔、京都のとある花屋の二階で、いけ花を習っていました。

お花の教室に通うといっても、
私の場合、ゆったりとしたものではなく・・・。
お菓子のデコレーション上達の為、
なんとか時間を切りつめて、必死に通っている感じでした。

先生は初老の男性で、魅力的なお花を活けられる方でした。
教室はとても人気があって、
生徒の中には、華道家やフローリストもたくさんいました。

京都にある有名な骨董品店や、アンティークショップの激辛マダム達も
別枠のクラスを設けてもらい、好んで通っている様子でした。

場違いな私は、いつも隅の方でサササと作業を・・。
隅の方でいるのが余計に目立って、よくいじられましたが、
結局は一番身についたし、とにかく楽しかったな~。

お菓子の世界ばかりに留まらず、
違うジャンルでいい仕事をされている方々と知り合いになれた事は、
当時の私にとって、とてもいい刺激だったと思います。

いつだったか・・・、
いただいた年賀状の写真が、
先生ご自身のふんどし姿(後ろ姿!)だった事がありました。
関東のお祭りの時に見かける様な?
ねじりハチマキに‘祭’って刺繍したハッピを着て撮影されていました。
セイセイセイ、ソイヤソイヤ、みたいなの・・・、

「あ・・・・、やっぱり?

うすうすは感じていたんですけどね、、、

何年か経った夏の終わりに、先生は言いました。

「ワレモコウはね、吾亦紅って書くんだよ、
わたしだって、紅いんですよって、 切ないね。」

「・・・・・」

疑いが確信に変わった瞬間でした。
でもね、厳しかった先生がなんとなく可愛く思えたのです。

男子の体力と、集中力を持ち、
女子の可愛さと勘の鋭さを持っている。

素敵なお花が活けられるはず、ですよね。

012

 あまりの暑さに元気のないワレモコウ、

ワレモコウを見るたびに、
先生の事を想い出すのです・・・。